コーチングとは、馬車という 『今居る場所から行きたい場所へ人を運んでくれる』 という意味から派生し、『人を、現在の状況から、その人の望む目標に向かって運ぶ役割、成果を上げるお手伝いをする』 という意味で使われるようになったのが語源です。
さて、コーチングとはいったい何でしょうか?
辞典では「コーチング」とは、「指導する」「訓練する」「ヒントを与える」「事実を教え込む」と定義しています。しかし、この定義は、ここで学ぶコーチングの定義としては当てはまりません。
コーチは一方的に何をしたらいいかの指示を出すのではなく、対等な立場から効果的な質問を投げかけるというスタイルにより、クライアント自らが、自分の内側に答えを見つけることを促します。部下や選手がどのようにして仕事を成功させたか、あるいはどのように失敗したか、自らの中で気づいて、整理できるように導いていきます。それによって積み重ねてきた経験を次にリソース(資源)として使えるようにしていきます。
コーチは、指示を出さないだけでなく、答えを用意するのでもありません。
提案をしたり、リクエストをしたりすることはありますが、「指示」したり「解答」を与えたりするのではなく、コミュニケーションの量と質を変えていくことによって、クライアントの自発的な行動を促します。
クライアントが目標に向けた行動が起こせないとき、それはクライアントが自分の能力に気がついていない、適性がない、知識が足りない、技術が足りない、ノウハウがない、経験がない、意欲をあげる方法を知らないといったことに起因しています。ここに目をむけ、クライアント自身が気付き、自らの行動パターンを変えていこうとすることを促します。そこに、コーチの役割があります。
最終的に、コーチングの一番の目的は、クライアントに成果を出してもらうことです。
つまり、コーチングにおける最大の目的は、成果を上げてもらうことです。そのために、クライアントが考えていることを整理し、より具体的なゴールを設定し、それを行動レベルまで詳細化して、実際に行動してもらうことです。最終目標であるのゴールや、それを成し遂げる為の中間目標をしっかり具体的にして実行してもらうように、クライアント本人に考えてもらい、結果を出してもらうのです。
もちろん、成果をあげ、結果を出させるのが、コーチングの究極の目標ですが、それをどのようにして達成するか、そのプロセスがコーチングにとって最も重要になります。コーチングのプロセスでは、コーチはクライアントがより効率よく、より効果的に行動できるよう焦点を絞りゴールを明確にします。そして現在の状況を正確に認識し、あらゆる行動の選択肢を明確にします。つまり、コーチはクライアントの現在地と、向かう先の位置、そのゴールを意識させるとも言えるのです。このような、目標達成に向かってクライアントとコーチの二人三脚でのコミュニケーションが「コーチング」なのです。
コーチングは、全ての仕事に、家庭生活に、子育てに、教育に、もちろんスポーツにおいて、クライアントに成果をあげてもらうことのできる優れた方法論です。
また、自立を促し、リーダーの養成に、マネージャーの養成にも書かせない技術なのです。そして、自分に対するコーチング、つまりセルフ・コーチングを実行することによって、目標達成や自己実現、問題を解決しながら安定した生活ができるようにもなれるのです。
コーチングとは、このように自立的な人間を育てながら、強制的でなく、クライアント自らのモチベーションによって結果を出していくコミュニケーションであり、方法論なのです。